ATMネット社
サンディエゴ・ハイパーメディア・センター

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1.訪問先   ・San Diego Hyper Media Center
         http://www.sdhypermedia.com/
         5752 Oberlin Drive Suite 101 San Diego, CA 92121
 
        ・ATM&-91;NET
         http://www.atmnet.net/
         5440 Morehouse Drive, Suite 3700 San Diego, CA 92121 

2.訪問日時  1996年10月10日(木)13:50〜14:30
3.説明者   ・Judy Trest, Center Coordinator
        ・Mike Trest, Chief Scientist
4.報告者   久留米・鳥栖地域インターネット協議会 猪口 徹
        久留米・鳥栖広域情報(株)      足立 務


1.サンディエゴ・ハイパーメディア・センター

 サンディエゴハイパーメディアセンターは、まだオープンして6週間というできたばかりのインターネット専門の研修センターである。
 研修のコースは、初心者コース、上級者コース、マーケティングコース、ビジネスコースに分かれている。カリキュラムは、WWWの使い方(初心者用)、WWWも含めたインターネット上の情報検索ツールの使い方、WWWの使い方(上級者用)、JAVAやVRMLなどの最新の技術の使い方などの技術的なセミナー以外にも、インターネットを用いたマーケティングやビジネスのセミナーも用意されているあたりはさすがだと思った。
 講師は、地域のハイテク企業や大学からよぶらしい。受講生数は4〜5人のコースから20〜30人のコースまであり、受講料は49$〜195$と内容によって異なる。週日または土曜日の朝、昼、夜の時間帯で組まれており、都合の良い時間を選択できる。ただし、毎日行われているわけではなく、例えば9月12日は9−12a.m、9月28日は2−5p.mといった具合だ。
 「売り」は高速のバックボーンにつながっているため快適な早さでウェブがブラウズできること。大画面のディスプレイにSONYのホームページがさっと出たときは驚いた。
 受講料もそれほど高くなく、また、特定のメーカーのセミナーとも違うので、私はてっきり3セク的な財団法人か何かで運営していると思っていたが、経営はMcQuerterGroupという広告代理店により行われている。
 今日のようにめまぐるしく技術が進歩していく中、インターネット協議会としても最新の技術に関するセミナーを定期的に実施していかなければならないのではないかと思った。そのことにより地域の技術レベルを上げ、新しいビジネスが展開するためのベースを築くことが出来る。ただ、それを実現するためには講師の確保や実施するスタッフの問題など検討しなければならない課題は多い。しかし、やる価値は大いにあると思った。

2.ATMネット社

 ATMネット社は全米を対象に、現在日本でも導入されつつあるATM(非同期転送モード)交換機を利用して音声、グラフィック、動画等のマルチメディアデータを高速で転送するサービスを提供している会社である。日本で例えるならば高速なバックボーンを持つIIJ等に相当する会社であるように思われる。
 会社の設立は1995年9月であり、設立1年程度の若い会社である。現在の従業員数は20名であり、その内の13名が技術者で、残りの7名が営業を担当している。
 ATMネット社の事業方針は、大企業ではなく中小企業が手軽に使用できるネットワークのサービスを提供することである。つまり、中小企業が使用できる価格でネットワークを提供することである。
 具体的な数字で表すと、他のネットワークサービス会社が提供するT1(1.5Mbps)が3,500ドル/月であったのに対し、ATMネット社では1,500ドル/月で提供した。
 しかし、価格を抑えるためには、何らかの手法が必要なのは当然である。そこで、ATMネット社が行った手法は大きな回線を大量にまとめて購入し、その回線をある単位に分割し、しかも高速でデータのやりとりができるATM交換機の技術を利用する方法であった。
 この技術により、安い価格でしかも高速でのデータ通信ができるようになったため、ATMネット社は会社設立1年あまりで1,679社にもおよぶ顧客の獲得に成功したのである。
 参考までに顧客が利用している回線速度は、1,679社の内6社が155Mbps、25〜30社が45Mbps、その他が1.5Mbpsである。
(日本の企業であるソニーもATMネット社の顧客の一つであり、155Mbpsの回線を使用しているそうである。)
 また、ATMネット社は今年(96年)の9月までは全米で最速の通信速度(155M
bps)を提供する会社であったが、現在はAT&T、NCR、スプリント社も155Mbpsの速度を提供しはじめている。
 ところで、ATMネット社が利用する回線の購入先であるが、日本の場合であればNTT等の第1種電気通信業者のみからであるが、アメリカの場合、電力関係会社、CATV会社等が既に地下に光ファイバーを敷設しており、ATMネット社ではこれに目をつけ、電力関係会社、CATV会社等の回線を利用している。
 今後、ATMネット社は海外への進出を計画しており、香港には既に会社を準備して、来年早々営業を開始する予定だということである。
 また、カナダ、ヨーロッパ、アジアへの進出を計画しており、世界を高速回線で接続する計画を持っている。
 ちなみに、日本への進出も検討しているそうであるが、電気通信法の規制や回線の利用
料金の高さで、困難な状況のようだ。

 今回、視察させていただいた会社は採算の取れていない会社が多かった(大企業のオラ
クル社、カルコム社は別として)が、この会社はたった1年余りで、しかも20名という
小人数で利益を出し、また世界への進出も着実に計画している企業であり、まさにベンチ
ャー企業の雄を見た感じがした。
 また、経営者の先見性、新しいことに果敢にチャレンジしていくフロンティアスピリット、単年度で利益をうませる経営手腕には関心させられた。



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●説明したお二人はご夫婦であった。写真上は奥さんのジュディがハイパーメディアセンターの説明をしているところ。写真下はご主人のマイクがATMネットの説明をしているところ。