ゴルフ・ウェブ社

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1.訪問先   GolfWeb(ゴルフ・ウェブ社)
        http://www.golfweb.com/
        10001 N.De Anza Blvd., Ste.220&-91;Cupertino, CA 95014
2.訪問日時  1996年10月8日(火)14:00〜15:00
3.説明者   PJ Palmer, Product Manager
4.報告者   久留米月星商事(株) 倉田正平
        (有)エースーケン  古賀直樹
 
◎報告〜1 久留米月星商事(株) 倉田正平

1.会社概要
  ゴルフに関するホームぺージをインターネット上に開設した、先駆者的ベンチャー企 業。
  1994年6月設立、1994年末に基本となる出資を受け、1995年1月31日 に営業を開始。95年5月にベンチャーキャピタルの第1回目、96年5月に第2回目 の出資を受け、本年末に第3回目の出資を受ける予定。
  1995年度プロスポーツ部門のGNN最高ネット賞(Global Network Navigator )を 受賞。
  従業員数24名、1年以内に10人程度増やす予定。
  全世界に営業所8カ所あり。(米国3カ所、日本、イギリス、オーストラリア、カナ ダ、アルゼンチン)現時点で25社以上の広告主と契約。(ゴルフ関係及び関係外を含 む)
  技術に関するパートナーは、主としてSUN,NEC,3Comの3社で、Netscape社とも 関係がある。

2.営業内容
  インターネット上にゴルフに関するホームページを開設。What's News,Library,Where  to Play,Proshop それに、Golf Actionの項目があり、ゴルフに関する最新の情報、プロト ーナメントの速報、ゴルフ場の情報、又、ゴルフ用品の通信販売など多彩にわたり、そ のホームぺージ上には約5,000件に分類できる情報が掲載されており、長くても2 ヶ月ですべて更新を行なっている。日本語サイトも開設されている。
  営業収入としては、ホームページ上に掲げるバナー広告料、スポンサー付きのページ が現在の主な収入源であるが、その他にゴルフ用品の販売、ゴルフの指導、ゴルフ場の 予約、などである。
  現在はまだ投資の段階で、来年末までには採算分岐点に達する見込みとのことであっ た。
  ゴルフの市場は、米国に2千5百万人、日本に1千6百万人のプレーヤーが おり、 昨年米国では14億ドルがゴルフの広告に使われたこと、又、米国では60%のゴルフ ァーがパソコンを使用しており、スポーツゲームソフトの売上の11本のうちの4本は ゴルフであることなどより、インターネット上でのゴルフの市場も非常に可能性が大き く、実際に1千7百万回 /月のアクセスがあるとのことであった。

3.感想
  ゴルフウエブ社の最高業務責任者は、Cynthia Typaldosと言う中  年?の女性であった。つい、ゴルフをされますか?と質問したが、日本人の感覚では、 とてもこの様な仕事に、海の物とも山の物とも分からないような仕事に、中年の女性が 責任者であることに多少なりとも驚きを覚えた。可能性のある新しいことに果敢に挑戦 していくフロンティアスピリット、それを支えるベンチャーキャピタルなど、話には聞 いていたが実際に目の当たりにして 直接話を聞くことができ、大変に参考になり、  又、勉強にもなった。会社の概要を説明したPalmer氏も、給料は安いけど、将来 の可能性に賭けていること(ストックオプション?)そして、ここが駄目ならまだ他に も仕事があると事もなく言ったことが印象に残った。
  インターネットビジネスは、今後大いに発展、拡大すると思うが、この様なベンチャ ー企業がその発展を支えていると思う。21世紀は、間違いなく米国の時代であるとの 思いを新たにした。

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写真は実際のWWWの画面を見ながら説明を聞いているところ。
 
◎報告〜2 (有)エースーケン  古賀直樹
 
1.概要
 ゴルフ・ウェブ社はインターネットを使って、さまざまなゴルフ情報を提供するベンチ
ャー企業である。設立は1995年1月、創業者のエド・パターマン社長、ティパルドスCOOは、ともに、米ワークステーション大手のサン・マイクロシステムズのソフトウェア技術者からの転身である。オフィスビルはシリコンバレーのど真ん中にこじんまりとあった。
ゴルフ・ウェブ社はスタンフォード大学がベンチャー企業投資で運用する基金などから95
年5月に出資を得てスタート。96年5月には第2回目の資金をTrinity Venturasから集めた。社員は25名で来年にはあと10名増やす計画。
 ゴルフ・ウェブ社はインターネットを使ってさまざまなゴルフ情報を提供する、いまも
っとも注目されているシリコンバレーのなかのベンチャー企業である。いま現在収益をほ
とんど上げていないのに2度のベンチャー資金を集めることができ、3回目の資金を集める
計画を持っているとのこと。それほど投資家たちの期待が集まる企業である。
 ゴルフ・ウェブ社のビジネスの柱は広告、ゴルフ用品販売、ゴルフ場予約などの会員サービスの3つである。
 ゴルフ・ウェブ社のビジネスを成功させるためには、自社のウェブへのアクセス数を増やさなくてはいけない。96年6月第3週には、わずか1週間で800万のヒット数を記録した。
1日あたり115万ヒットである。これは日本のNTTが1日60万ヒットから言えばかなりの驚異的な数である。ここに投資家が集まる理由がある。
2.感想
 ゴルフ・ウェブ社自体は何の変哲もない、どちらかというと零細企業のオフィス程度に思えた。中にいる社員も、何か猛烈に働いている感じはしなかった。中身を聞かない限り、とても外観からは想像できない企業であった。説明をうけた中で印象に残っていることは、まず、ホームページのURLのwww.golfweb.comは、この名前だけで一つの財産ということを強調していたこと。確かにネーミングはとても大切である。まさにゴルフ情報にふさわしい名前を獲得していると思う。
 次に、ゴルフ情報に特化したことである。ゴルフ人口は、世界中で5000万人以上いると言われている。しかも比較的所得の高い層、すなわち購買力ある過分所得の多い層である。企業に支持され、所得が高い層、そして、男性中心とインターネットユーザーの条件を満たしている。それを徹底的に特化することで、より中身を充実することができる。こうしたことが成功の要因であると思われる。
 今回のアメリカ視察に行くまではウェブに関しては軽く考えていた。ホームページを中心としたウェブビジネスで成功するためには、(1)利用度の高いものであること。(2)鮮度がよいこと。すなわちたえずアップデートされていること。(3)市場が大きいこと。一つで独占できれば狭い市場でも構わない。そして何よりも(4)コンテンツが充実していることである。
 これだけのことを満足させるためには創業期の収入が見込めない時期を、どう乗り切って行くかである。そのためにはしっかりしたコンセプトを作ってスタートさせないと途中でもたなくなってくると思う。無料で自由に閲覧できるシステム。そしてそれによってマーケットシアを大きく確保する。そこまでが勝負である。アメリカではこの部分をエンジェルといわれる投資家たちが支えてくれるのである。それと経費のかからない社会システムにある。つまり、通信費が安い、事務所の維持費が安い、生活費が安い、そして優秀なスタッフをストック・オプションというかたちで安く使うことが出来る。こうしたことがあって、初期のコンテンツ作りの間、十分に耐えて行けるのであると思う。目先の利益に左右されることなく、しっかりしたマーケティングに基づいて自社の商品を発酵させることが出来るのだと思う。
 アイデアだけなら私たち日本人でも十分に思いつくことが出来るが、2〜3年収入ゼロで、しかも先の答えが読めなくても本当に粘り強くやり通せるかと言うと、今の日本の社会システムでは、かなり厳しいと思う。しかし、それを乗り越えない限り日本に真のベンチャー企業は育たないことを実感した。

 不思議なことに今回のアメリカ視察を通してアメリカのホームページが身じかに感じられるような気がしている。直接制作に携わっている人達と接することで、ウェブの後ろの人間臭さが見えてきたからかもしれない。所詮は人間が作っているのである。ハートのあるウェブこそ成功の秘訣であろと思う。