スタンフォード大学

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1.訪問先   US-Japan Technology Management Center
        Stanford University
        (スタンフォード大学日米技術経営研究センター)
        http://fuji.stanford.edu/
        302 McCullough Stanford University Stanford, CA 94305-4055
2.訪問日時  1996年10月8日(火)9:40〜11:00
3.説明者   Prof. Richard B Dasher
        Director of the US-Japan Technology Management Center
4.報告者   久留米工業大学 青木 征男
        久留米工業高等専門学校 松本 健一
 

1.説明の概要

 US Japan Technology Management Center(JTMC:日米技術経営研究所)はスタンフォード大学の一組織であり、1992年に設立された。ダッシャー教授はJTMCの所長であり、日本語も堪能である。ダッシャー教授に次のようなJTMCの概要を紹介していただいた。なお、JTMCについてはWWWにも紹介されている。(URL:http://fuji.stanford.edu

 JTMCは教育と研究の両方を担当している。現在の主な研究分野は次のようなものである。
Optoelectronics, Flat Panel Display, Advanced Manufactuaring,Advanced Computing and Networking, Hardware/Software Development, Micromachining, Machine Translation, Japan-Related Skills for Engineers

「日本ではどのような最先端技術分野の研究が行なわれているか」という調査をして、調査結果をWWWでも公開している。
 また、日本のNTTと協力して、Japan WindowというWWWも公開してる。
URL:http://jw.nttam.com/HOME/

  教育面では生涯教育、社会人教育に力を入れている。大学教育のTV化およびインターネット化を行ない、現在255社につながっている。また、ビデオテープを全米に配布している。また、WWWを使った教育も開始している。

 ネットワークへの要求が強いがインフラが弱いのが問題である。特に家庭での電話回線への接続がボトルネックになっている。また、WWWの教材開発も良い教材を開発するのが難しい。

 WWWを教育に使うことにより、時間と空間の制限がなくなる。しかし、教育は人と人との接触が大切であり、これが最後まで残る。

2.感想

 「エリートのための教育ではなく、経済界を推進する人のための教育」がスタンフォード大学の方針とのことだが、この方針を実行していると感じた。

 スタンフォード大学はその設立経過から、特に地域社会の向上のためには、すべての機能を社会に開放するという精神が基本になっているのが実感できた。町と大学に地理的な境界がないように、教育、研究の面でも境界を作らない。
 インターネットを用いた講座の設立などは、現在わが国でも始まろうとしているが発想が違う。わが国の官主導型に対して特にアメリカは民主導型である、というより研究者がやらねばならないという強い義務感が駆動力になっている。研究室主導でどんどん実験がやれる。そしてそれはすぐに社会に還元・適用すべきものである。
 久留米地域と大学等にこのような関係を樹立し、生涯教育、高齢化社会への対応を行うには、まずは個々の研究室レベルで、何をやらねばならないのか、何がやれるのかの可能性を検討し行政と地域社会へ提言する姿勢を持つべきであると痛感した次第である。
 アメリカにはやはりフロンティア精神が脈脈と続いているという実態を目のあたりにした。


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写真は、屋外で質疑応答を行っているところ。説明に使われた
部屋に次の授業が入ったため続きを外で行った。