Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume3,2000 || H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11 || 12 || 13

 


「久留米レディースネット(女性ネット)による学習会活動とその意義」


久留米工業大学 電子情報工学科
小田まり子
http://marino.is.kurume-it.ac.jp/KLN


・音声化ソフトを利用した(マウスを使わない)ウインドウズ学習会のページ
http://marino.is.kurume-it.ac.jp/KLN/onsei11_30.html

・知的障害児親子の学習会のページ
http://marino.is.kurume-it.ac.jp/takahashi/


・ハーネスみなわのページ
http://fukuoka.cool.ne.jp/minawa/


・五大エンボディ株式会社
http://www.mentek-godai.co.jp

 平成10年度に、久留米・鳥栖地域インターネット協議会の啓発事業である「女 性のためのインターネット学習会」が計画され、講師として協力させて頂くこ とになりました。当時は、利用者の中心は男性であるという認識が強かった (注:平成10年9月末のインターネット久留米加入者の 86% は男性)インターネッ トですが、女性対象の学習会には20代から70代までの数多くの女性参加者があ り、幅広い年齢層の女性がインターネットに関心を寄せていることがはっきり と伺えました。そこで、学習会受講者を中心とする女性インターネットユーザ でメーリングリストを立ち上げたのが、久留米レディースネット(女性ネット) の活動のはじまりです。メーリングリストを始めた当初は、パソコンやインター ネットに関する質問のメールが圧倒的に多く、自分自身の技能の向上や情報の 収集を目的として参加されるメンバーが多かったのですが、最近は、インター ネット利用の基本的な知識を身につけたメンバーが増えたことや、肢体不自由 な方、視覚障害者、知的障害児を持つ母親などのメンバーが加わったことで、 インターネットを利用したボランティア活動に関する話題がふえてきました。
  平成11年度には、久留米・鳥栖地域インターネット協議会や久留米工業大学の 支援の下、レディースネットの主催で以下の障害者支援学習会を実施しました。

(1)インターネットフェスタ '99 肢体不自由な方対象ホームページ作成学習会
肢体不自由な方と一括りに言っても、その障害の種類は様々で、足や口を使っ てキーボード入力をされる方、マウスを通常の逆向きに持って操作される方、 マウスの代わりにトラックボール等の装置を使われる方など、皆がそれぞれ異 なる環境でパソコンを操作されます。事前予約はせずにフェスタ当日に参加を 希望される方も多くあり、一人一人に合わせた異なる環境を早急に用意する必 要がありました。このような会場準備や講座中のアシスタントは久留米工大生 にも協力してもらいました。障害者対象の学習会は一般の方を対象にした場合 に比べてマンパワーが必要ですが、レディースネットメンバーと久留米工大生 の努力もあり、無事、参加者全員にパソコンを利用して頂くことができました。
(2) 大石万里子氏による音声化ソフトを利用したウインドウズ学習会
視覚障害者のパソコン利用方法を広く一般の方に紹介するための学習会を10月 20日と11月30日に開催しました。講師である大石氏自身がインターネットを利 用されるようになったのは、視覚障害者をサポートするボランティア団体「ハー ネスみなわ」の協力があったからです。ハーネスみなわでは視覚障害者対象の 学習会開催やメーリングリストの運営などの活動が熱心に行われていますが、 今後、音声化ソフトによる(マウスを使わない)操作に慣れた晴眼者のサポータ が増えていくことを望まれています。レディースネットの学習会では、ハーネ スみなわの活動を支えるサポータを増やすことも目的の一つとしています。今 後もハーネスみなわと連係して、一般市民を対象とした講習会を定期的に開催 していく予定です。インターネットフェスタ'2000 でも音声化ソフトを利用し たウインドウズ講習会をハーネスみなわとの共催で実施する予定です。

(3) 知的障害児親子を対象としたインターネット入門学習会の開催
教育分野へのコンピュータやインターネットの導入が試みられていますが、知 的障害児の場合は、いくら教育や訓練を行っても理解力が十分でないためコン ピュータを操作できないだろうといった間違った思い込みがあります。コンピュー タが実際に導入されている学校でも、知的障害児の教育にはほとんど利用され ていないのが現状です。しかし、両親が子供の発達への希望を持つのは障害児 であっても同じであり、最初から「できない」と決めつけるのではなく、高度 情報化社会の中での自立や就労に向けて、健常児と同等の学習機会を与えても らいたいと多くの母親は願っています。このような要望に応えるため、1月9日 にダウン症児親子対象学習会を開催し、8組の親子(家族全員参加が3組)に参加 頂きました。最初に養護学校の先生が作られたマウス入力練習用ソフトを利用 し、色と形を勉強しました。その後、親子学習会用に準備したリンク集を用い てのネットサーフィンを体験して頂き、電子メールとホームページ作成のデモ を行いました。多くの子供たちは我々の期待以上に音声や動画像を用いた学習 教材に夢中になってくれました。学習室では、久留米工大生が親子の技術アシ スタントとなり、託児ルームでは、福岡女学院大学の学生が介助ボランティア を行って下さいました。インターネットに興味を持ちながらも、障害児を預け てまでは学習会に参加できなかった母親たちは、インターネットの便利さ、面 白さを十分に満喫されたようでした。母親がまずインターネットについて勉強 し、自分で子供に指導できるようになりたいと考えた方もおられたようです。
  知的障害児親子を対象とした学習会は 2月7日, 21日にも実施予定です。ま た、インターネットフェスタ2000では、知的障害者の就労やコミュニケーショ ンを助ける数々の支援ソフトを開発されている五大エンボディ(株)にも参加頂 き、お金の概念を学ぶソフトや絵文字による電子メール交換を実現するツール 等のデモや学習会を行って頂きます。また、知的障害者自身による支援ソフト を利用した実演販売も企画しています。
  久留米レデイースネットでは身近な女性たちの声に耳を傾けた学習会活動を通 じて、少しでも地域の活性化につながる社会貢献ができればと考えています。


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