Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume3,2000 || H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11 || 12 || 13

「インターネットの動向」

久留米・鳥栖地域インターネット協議会
運営委員 佐塚 秀人
 
2000年になりました。2000年問題で政府やマスコミは大騒ぎした年末年始で したが、鉄腕アトムのような未来世界の幕開けでなかったのはちょっと残念で した。しかし、ここ10年のコンピュータの性能の向上は目をみはるものがあり ます。人間の言葉を理解するコンピュータは空想できても、これほどの速度で 計算するシリコンチップは予想できなかったに違いありません。
 私はコンピュータの勉強を始めてもうすぐ20年になりますが、こんなシンプ ルな形のままコンピュータの性能向上がなされるとは思ってもみませんでした。 学生のころは現在のノイマン型を言われるアーキティクチャは限界が来て、非 ノイマン型の超並列コンピュータが主流になるんだと信じていました。当時の 技術者が2000年問題を予想できなかったのは当然でしょう。きっと別の未来の 夢を見ていたのでしょう。もし、現在のコンピュータの形態に限界が来て、その必要性から新たな技術 が発明されれば、それを育てるために別の力が注がれ、一方で古いコンピュー タ技術は急速に消えていったのかもしれません。2000年問題は半導体技術の順 調な向上が、ソフトウェア技術のライフサイクルの伸ばしてしまったのが理由 かもしれません。
予想もせず順調に性能向上してしまって困るということはあって、マイクロプロセッサの速度がどんどん速くなり、価格がどんどん落ちてくると、落ち着 いてプログラムを書くとか、1台のハードウェアをじっくり使い込むという余 裕がなくなってしまいます。
とにかく今あるマシンを使いこなさないといけない。性能的に優位性がある 時になんらかの成果を出さないといけない。こんな気持ちで仕事をしないとい けなくなってしまいました。デュアルCPUの高性能マシンも安く手に入れら れるようになったのですが、2つのCPUに負荷をかけるような仕事を探すのに悩んでしまっています。手段のためなら目的を選ばないというわけのわからない状況に陥っていたりします。あなたも、世の中全体もそういう感じになっているような気もしませんか?
優秀な研究者なら、現在の高性能なCPUや安価大量のディスクを活用して、難問を解くプログラムに挑戦するのでしょうが、志の低い私はCPUやディスクを簡単に無駄使いするアプリケーションを目指すことになってしまいました。
やはり大量にCPUやディスクを消費するのは、昔から画像処理でしょう。動画ともなれば昔は数億円以上のマシンで勝負をかけるものでした。それが今はパソコンでOKという時代なんです。やはりもう21世紀ですね。インターネッ トで動画を扱うというのも一般的になりそうな雰囲気です。以前は遊びの領域であった、RealVideoがちゃんとしたビジネスになろうとしています。開発を しているRealSystem社はRealSystem7を発表し、ツールを一部無料で公開 しています。ほかにもApple社はQuickTimeにストリーミング機能を加えま した。Microsoft社もMedia Playerにストリーミング機能を持たせています。
これからはもっと簡単にパソコンで動画を扱えるようになりそうです。
WWWのページを作成するといった作業は、かなり時間のかかる仕事です。し かし、ビデオをインターネットの乗せるのは簡単です。家庭用のビデオで撮影 し、後は高性能なCPUと大容量のディスクまかせといったものです。従来イ ンターネット上のコンテンツは、手作業で時間をかけて構築していくものでし た。それが楽しいし価値もあるのですが、コンピュータ本来の機能をもっと活用し高速、大容量という特性を生かすインターネット応用にトライしてみては いかがでしょう。
現在、私は大学の講義をマルチメディアコンテンツとしてデータベースに記 録していくという作業を行っています。ビデオはRealVideoを使っているの ですが、1年で10GB程度の容量の情報が蓄積できました。このビデオを中心 に、黒板の記述の記録、教員の話からのキーワードの抽出、それらの関連付けといった作業を日々コツコツとやっています。実はそれほどたいへんな作業で はありません。
ビデオテープに入れておいたら、必要に応じてテープをデッキにかけて再生 をしなくてはいけませんが、RealVideoやQuickTime Streamのようなものを 使えば、少しの待ち時間で目的のコンテンツを取り出すことができます。これ は大量の情報を拾い読みするには重要で、いままでにないビデオ情報の活用ができると考えています。基本は有効なCPUとディスクの無駄使いなのですが、ハードを使い切っているいという満足と共に、新しい気楽なコンピュータ利用 が見えてきました。
CATVインターネットやADSLなどの常時接続の高速インターネットがこれから使えるようになれば、このようなコンテンツもなんのストレスもなく、自宅から見れるようになるでしょう。せっかく高性能なコンピュータをみなさん持っていますので、21世紀に向けて新たな視点をもって気楽にいろいろトライ してみるのがおもしろいのではないかと思います。性能の向上だけを1次元的 に見ていると視野が狭くなってストレスも感じ、そんな高性能なものはいらな いとか、どうにかして使いこなさなくてはという逆向きの発想をしてしまいが ちです。単純に未来を夢見て楽しむことも大切だと思います。


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