Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume4,2000 || H O M E|| || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11 || 12 || 13 || 14|| 15

「スパムメール事件」
久留米・鳥栖地域インターネット協議会
野上  禎英
Yosihide Nogami

ネット利用人口は99年末で2706万人と推定され、米国に次いで世界第2位、女性や若い人々の利用がネット人口増加の推進力になっているという。
このデータは郵政省の2000年版「通信白書」によるものだが、先日その郵政省から突然電話がかかってきた。郵政省のインターネットサーバへ不審なアクセスが続いており、それが協議会の管理するアドレスからだというのだ。
そういえば協議会で運用しているメールサーバが、スパムと呼ばれる迷惑メール配送の踏み台にされているという連絡を受け、セキュリティを強化することになったばかりだ。 急激なインターネット利用と並行して、やっかいな問題も急増しているようだ。
スパムとは、通信販売や有料のホームページへの勧誘など、不特定多数の利用者にばら撒かれかれる迷惑な電子メールのことを言う。
最近、私の職場に届いたメールは"Uターン技術者募集"のページからアダルトサイトへのリンクを望むという無礼な内容のものだった。いったいどんな技術者を募集しようというのか?
多くの場合、こういったスパムメールはホームページにアクセスして他人の電子メールアドレスを自動的に回収するプログラムを使っている。そうして大量に送り先リストを作り、一斉にスパムによる広告を送っているのだ。
このような方法では、ダイアルアップ接続だと1時間に5千通、より早い専用線などを利用すれば、毎日数百万通から数千万通のスパムを送ることが可能だという。
スパムの語源は食品の名前で、ホーメル・フーズ社から"スパム"の名前で発売されている肉製品の缶詰である。第2次世界大戦中に戦場に簡単に持ち込める栄養分のある食品として開発され「スパムがなければ連合国は負けていた」と言われるほどの人気だったそうだ。
現在でも大変ポピュラーなものらしく、ハワイのセブンイレブンには"スパムおむすび"なんてものがあるそうだし、日本でもスーパーの輸入食品売場などで販売されている。 味は… 好みもあるだろうが話のネタに一度お試しあれ。
ところで、どうして缶詰の名前が迷惑メールを示す事になったのか?スパムの語源についてインターネットで調べてみたが色々な情報があり、どれが真実なのかわからない。ただ、番組名や登場人物は異なっていても、レストランが舞台になっている事は共通している。最初にテレビで放送されたものが評判をとって、それを真似ていくつか作られたのだろう。
その一つを紹介すると…
レストランで食事を注文をしようとしている男性の前に美女が現われ、「スパム!スパム!スパム!」と唄いながら踊るので、男性はスパムしか注文出来なくなってしまう。
このような押売りの様子から、"スパム"といえば電子メールなどを使って同じことを何度も繰り返えす迷惑行為を示すようになったようだ。
電子メールの利用者は、読みもしないスパムメールをダウンロードするために無駄な時間を要し接続料金はかさむ。プロバイダ事業者にとっては、回線やサーバの負荷を増大させるため、本来必要のない経費が膨らむことになる。
スパムが横行すれば社会に及ぼす経済的、物質的な被害は大きく、各国ではスパムを違法とみなす動きにあるようだ。 中継に利用されたサーバをブラックリストに掲載し、そのサーバからの受信を拒否する所も現れているという。
郵政省では2005年までに、現行のインターネットの1万倍の処理速度と3万倍の接続規模を目標としている。また、携帯電話などを使ったモバイル通信サービスの利用者は、ほぼ毎年1000万件増のハイペースで急増している。
2001年からはIMT-2000という次世代携帯電話サービスが始まり"いつでも、どこでも、だれでも"超高速のインターネットを通じて動画や音楽を利用できる生活が始まる。
しかし、何事にも光と影の部分が存在する。必要な情報を瞬時に手に入れることが出来るようになるのは便利だが、いきなり耳元で「スパム!スパム!スパム!」とまくし立てられるのはたまらない。
「障害は不便だが不幸ではない」最近ベストセラーになった本に書かれた言葉だ。インターネットは我々の生活から時間や空間といった障害をなくしてくれる便利な道具だが、必ずしも幸福をもたらしてくれるとは限らない。"どう使ったらハッピーになれるか?"これからの使い方が肝心だ。


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