Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume5,2001 || H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10



はじめに
情報通信分野は、非常に高い技術先導性を持ち、かつ急速に成長しているという特徴が有り、IT革命といわれるような情報社会の索引役を担っている。
大きくいって、この分野は基本的には民間活動の場ではあり、国としては最小限の規制、民間活力が最大限に発揮できることを念頭に置いている。ただ、なかなか民間活力が弱い地域については、国や自治体の果たすべき役割があり、特に経済低迷期でのてこ入れは重要でありと考える。
ここでは、ITが目指すもの、私たちが果たすべき役割など概要を述べたい。


IT革命について

九州総合通信局 情報通信振興課 課長
  石塚 仁好
 

 

ITの意味するもの
ITの要素としては、インターネット技術、携帯電話等に代表されるモバイル通信技術、放送のデジタル化に代表されるデジタル通信(放送)技術が大きな柱であり、それらが複合化されて技術的な発展をしているところが特徴といえる。
日本における産業別実質国内生産額でも情報通信産業が建設産業をぬいてトップの地位を占めているように、単に情報社会だけではなく、日本経済の索引役としての期待もされているところである。

情報通信技術の現状
1.インターネット
平成11年度の調査ではインターネットの利用者数は2,700万人、平成17年度には7,600万人と予想されている。数年後にはインターネット端末もパソコンだけではなく、レンジや冷蔵庫、テレビ、クーラーにもインターネット対応家電が普及し、外出先から冷蔵庫の在庫状況や部屋の温度設定など可能な社会が来ることが想定されている。
2.移動通信
平成11年段階で、携帯電話、PHSの加入者総数が固定電話をぬいており、ほぼ2人に1人は携帯電話を持っている状況になっている。その中でも携帯電話からインターネットに接続できる機能を持った端末機が爆発的な伸びを見せている。今の携帯電話としての欠点ともいえるスピードが遅い、外国では使えないといったことも、新規格の導入により、解消されようとしている。
また、「人」、「車」、「道路」を、最先端情報通信技術を用いて一体のシステムとして構築し、安全性・輸送効率・快適性・環境に寄与する高度道路交通システム(ITS)の研究も進められている。
3.デジタル放送
平成12年12月よりいよいよBSでのデジタル放送の開始を皮切りに、地上放送についても5年後には全国全てのデジタル化を目指し周波数の移行等、準備を進めている。デジタル化により、多チャンネル化、付加的情報の追加がかのう、雑音に強いなどの特徴の他、パソコン等への映像取り込みが容易になるなど、放送、通信の概念が取り払われ、融合化がますます促進されることとなる。

 

国における情報化の取り組み
前に日本における情報通信産業はトップという話をしたが、インターネットの普及率等、各国の状況と比べると、アメリカ、欧米からだけでなく、アジアからも日本は情報化に対して遅れをとっているといわざるを得ない。そのため、国としても高速ネットワーク整備を中心に、電子商取引、電子政府、インターネットの普及、人材育成に努めていくこととしている。
また、地域や世代等の違いによる較差(デジタルデバイト)の解消や、安全に使うためのセキュリティーの確保も重要な柱と捉えており、総務省もこれを受け、地域活性化とも絡めながら、ネットワーク構築、ITを支える新技術の研究開発などの施策を進めていくこととしている。

終わりに
地域や経済の活性化のためには、高速ネットワークを構築し、その中にどんな情報を流すかが重要となる。生き生きとした街作り、お年寄りや障害者も含め、みんなが感受できるような地域の情報システム作りがどうできるかが大きなポイントである。
また、人材(グループも含む) についても、ハード的な情報ネットワークを作ることが最終目的ではなく、地域振興、地域活性化のために情報ネットワークを如何に活用するかが重要であり、ネットワークや情報通信のプロというよりも、その地域での情報ネットワークを企画できる能力を育てることが、地域活性化の鍵と思う。


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