Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 Volume5,2001 || H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10

 

現在メディアウェーブでは、学部学科を問わず約40名の社員が所属している。

学生企業「メディアウェーブ」設立の経歴と実情

有限会社メディアウェーブ 開発1課
北島 稔大


■久留米大学情報教育センター

当社が設立して2年以上経つが、設立するまでの経歴や設立後の運営には、一言では言い尽くせない様々な苦労があったし、同時にお金では変え難い体験も味わってきた。
当社の設立は、久留米大学経済学部長である駄田井正教授の「経済学部完成記念事業の一つとして、学生ベンチャー企業を作ってみないか」という4年前の思いつきから始まった。当時は関心を示すものが少なかったと聞いているが、その1年後には興味を持つ学生も増え、会社設立が現実味を帯びることとなった。当時はインターネットが急速に普及し始めた頃であり、新たな技術やノウハウが入手しやすくなるとともに、そこに大きいビジネスチャンスが予想されていた。当然ながら、学生の間にも「インターネットビジネスをやりたい」という意欲のある者が増えていたのである。
1998(平成10)年8月26日、晴れて当社は設立にこぎつけた。出資金に関しては本学経済学部父母の会と商経同窓会から援助していただいた。代表取締役は駄田井経済学部長、初代の学生取締役には当時商学部3年の藤田剛さん、経済学部3年の桃田清徳さんが就任し、初代の監査役には私が指名された。設立に関する法的な手続きや事務所をどこに構えるのかなど様々な問題に直面しながら、学生自らの手によって設立準備が進められた。当然、法務局や銀行などとの折衝や必要書類を作成することなど、何もかもが初めて体験することばかりだった。設立の運営で困っている中、本学OBの公認会計士内野順さんや本学庶務課の方たちのアドバイスや支援があり、私たちを支えて下さったことが何よりも大きかった。今でも設立の時に携わってもらった方には感謝している。
いくら会社の設立ができても、それなりの実力やノウハウがなければビジネスができない。設立と同じ時期、腕試しとして福岡市のある財団法人が公募したホームページコンテストへ出品し、応募した2点とも「佳作」入選を果たした。応募のなかにはプロで活躍している方の作品もあったので、「佳作」と言う結果はこれからビジネスする私たちにとって大きな自信になった。
本格的な業務活動は10月下旬から始めた。当社の業務内容は、「ホームページ作成代行」、「システム構築」、「文書入力代行やパソコン利用のサポート」である。当初は学内の依頼が多く、実力的にも未熟なところばかりだった。システム構築に関しては一般のソフトウェア業者と比べて格段に安かった。これは、社員がすべて研修の身であり、仕事を引き受けて勉強をし始めるケースさえあるから、やも得なかった。
当社の最大の特徴は、大学を卒業と同時に退社しなければいけないことである。だから、業務を行いながら後継者の確保や育成をしていかなければならない。例えば入学式で会社PRのビラを配ったり、会社説明会を数回に分けて行い新入社員の確保に努めた。今後は社員確保と育成のために新たな知恵を絞らなければいけないと思う。
現在の業務活動は、「ホームページ作成代行」、「システム構築」がメインだが、ここ数年、インターネット技術は急速に進歩しており、設立当初より格段にハイレベルの能力が要求されるようになってきた。「システム構築」に関しては、スタンドアロンのシステム構築からDBサーバやWebサーバに対応したシステム構築へ移行しており、「ホームページ作成」と連携するケースも多くなってきた。ソフトウェア業界は技術のサイクルが早いので、常に技術取得のために学習する努力が必要となっている。
現在は週に2回、夜2時間の勉強会を開催している。「ホームページ作成」に関しては、HTMLは勿論のこと、JavaScriptやCGI、FLASH、Photoshopなどの学習を行っており、いずれはXMLなどにも力を入れるつもりである。「システム構築」に関しては、データベース関連の知識やVisual Basic、Perl、PHP、SQLなどの言語修得を進めている。更にハードウェアや通信ネットワークなどコンピュータ全般に関する学習も同時に行っている。確かに内容はどんどん難しくなってきたが、興味を持って勉強する者が徐々に増え、アドバイスしてくれるメンバーもいるので、これからもこのような雰囲気を大切にしたい。
当社はまだ発展途上中である。「学生」という若さを前面に出し、「ホームページ作成」や「システム構築」に更に腕を磨きたい。「メディアウェーブ」という社名のように情報という波を起こし、これから地域社会にも認知されるような会社に成長したいと思っている。


|| H O M E || || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10