Kurume・Tosu Internet Conference

「The Journal of Internet」 1999年春号 || H O M E || || 2 || 3 || 4 || 5 || 6 || 7 || 8 || 9 || 10 || 11

インターネットの新動向

久留米・鳥栖地域インターネット協議会
アドバイザー委員 佐塚 秀人
(久留米工業大学 講師)
 インターネットにも世代の変化を感じる。 第1世代は、研究ネットワークで研究者によって運用されていた。 第2世代は商用ネットワークの登場と、ダイヤルアップによる一般ユーザーの接続だろう。 今はたぶん第2世代の中盤で、技術や文化は第3世代を目指している。 そして安定した実用期は次の第3世代なのではないかと考えている。

 第1世代はTCP/IPによるインターネット技術が、世界規模で実用になることを示した。 第2世代はWebを中心として、グローバルなコンピュータ通信がインターネットであることを一般の人にも納得させた。Webはテレビや雑誌に続く広告媒体になり、電子メールは電話やFAXと共にビジネス通信の中核になってきている。

 インターネットの普及の原因はWebだと誰もが思っているだろうが、本当はTCP/IPのスケーラビリティが本質で成功はTCP/IPの成功証明だといえる。 しかし、実は商用インターネットの爆発的普及は、同時にそのTCP/IP技術の破綻を気付かせることにもなった。 現在のIPv4は32bitのアドレスを持ちいているが、もう既に満杯状態になっている。 第3世代はIPv6から始まると予想する。 IPv6は128bitのアドレスを用い、ヘッダ情報から配送に計算が必要となる部分を排除し、シンプルでかつ柔軟な応用が可能なインターネット本来の特性をさらに生かす形に進化する。


 新しいIPv6は、アドレス空間の増大だけではなく、品質を保証、通信経路の選択、セキュリティの向上などIPv4時代に実験がなされた各種技術が自然な拡張として導入される。 特にセキュリティを含めた品質向上は、新たな通信メディアの登場による速度の向上と協調し、本来のマルチメディア通信を実現する方向に向かうのではないかと思われる。

 第2世代のインターネット技術は、イントラネットと呼ばれる技術を表に出した。イントラネットとは、インターネット技術による組織内ネットワークのことだが、インターネット技術をスタンダードとしたという意義は大きい。イントラネットはインターネットとシームレスな接続を提供する。データベース、分散処理、グループウェア、これらはイントラネットによって変わった。 ここで成長した技術は、逆に第3世代のインターネットを動かす中核になるだろう。

 第3世代は第2世代ではできることがわかっていてもできなかった技術や応用が吹き出してくるはずである。 それをうまく利用したコンテンツの生産が新たな文化を造り、現代を担うはずである。もはや、OSがなんだとか、ブラウザがどうのこうの言っているようでは時代の動きを見失うので要注意だ。


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